AI外観検査システムHACARUS Check~デバイスの組み合わせによって外観検査の課題を解決~

2024/06/12

PROFILE

Mitsutaka Shiraishi

エンジニア(インダストリー事業部)

こんにちは、インダストリー事業部に所属しているエンジニアの白石です。本記事では、インダストリー事業部で開発しているHACARUS Checkが制御しているデバイスについて紹介します。

HACARUS Checkで制御しているデバイス一覧

HACARUS Checkは、以下のデバイスを制御し、検査対象ワークを多角度で撮影した上で、得られた画像を検査しています。

  • ロボットアーム
  • ロボットアーム先端のリング照明
  • ロボットアーム先端の撮影用カメラ
  • 検査対象ワークを設置する回転昇降台

これらのデバイスは、以下の画像やHACARUS Checkの紹介ページ、の外観からも確認できます。実際に使われている様子はこちらのビデオから確認できます。

また、これら以外にも検査対象や、お客様の要望に応じてデバイスを追加しています。例えば、以下のデバイスを追加しています。

  • キーボード/マウスなしで、外観検査を開始するための外付けボタン
  • 検査結果を通知するためのシグナルタワー
  • 検査対象ワークを設置/取り出し時のみ開閉する、自動扉

各デバイスは、基本的にEthernetケーブルで接続され、ネットワーク経由で制御PCから制御されています。ただし、回転昇降台や外観検査開始ボタン等、一部のデバイスはPLCを介して制御しています。このため、ネットワーク制御可能なデバイス以外にも、PLCで制御可能なデバイスも追加/制御が可能です。また、PLC経由で、お客様のシステムから入力信号を受けて制御を変更することも可能です。
AI外観検査システム「HACARUS Check」ダイカストメーカーに初導入 - HACARUS INC.

デバイスの制御プログラム

デバイスの制御プログラムは、宇佐美さんの記事でも触れている通り、C#で実装しています。
デバイス制御に関わる主な機能として、以下があります。

  • デバイスの設定、及び制御の順序シーケンスとなる設定ファイルを読み出すパーサー
    • ロボットアームや回転昇降台を移動させたい位置の座標のリストや、各デバイスを移動させる順番を設定したファイルを、入力値として受け取ることができます。
    • ユーザは、これらのファイルを用意することで、任意の座標にデバイスを移動させて、独自の撮影シナリオを作成することができます。
  • デバイスの制御/監視
    • 前述の設定ファイルに基づき、各デバイスへの接続/初期化や、撮影シナリオに沿ったデバイスの制御を行います。
    • デバイスの制御だけでなく、外観検査開始ボタンやロボットアームの緊急停止ボタン、各デバイスの状態の監視も行っています。
  • デバイスに関するイベントの通知
    • 例えば、ユーザが緊急停止ボタンを押した場合、HACARUS CheckアプリケーションのUI側にそれを通知します。UI側はこれを表示し、かつ緊急停止ボタンが解除されるまで一切の操作を受け付けなくなります。

デバイスを制御する上で苦労する点

複数のデバイスを使った撮影にて、特に困難な点としては実動作と検査時間を踏まえた上での撮影シナリオの作成があります。

  • 実動作における問題
    • ロボットアームや回転昇降台を動作させた場合、位置や動作タイミングによっては互いに衝突することがあり、衝突しない軌道やタイミングを考慮した撮影シナリオが必要となります。
    • 各デバイスの動作がソフトウェア上では完了したとしても、デバイスの動作速度や検査対象ワークの重量 /形状によって、実際はロボットアームや回転昇降台がブレてしまい、完全に停止していない状態で撮影されることがあります。この場合は、各デバイスの動作タイミングをズラしたり、ブレが収まる時間を考慮して撮影シナリオに遅延を加えたりする必要があります。
  • 検査時間の短縮化
    • 大量に量産される検査対象ワークを検査するためには、検査時間は可能な限り短く抑える必要があります。
    • 前述の実動作における問題を考慮しつつ、各デバイスを高速かつ並列で動作させることで、検査時間を短くした撮影シナリオを作成する必要があります。

デバイス制御をやっていて面白いと思う点

前節でデバイスを組み合わせによる苦労について述べましたが、一方でデバイスを組み合わせることで、人の目では検知が難しい不具合の検出を実現できることが、面白く挑戦しがいのある点とも思います。検査対象ワークには、人の手で傾けたりしないと見えない箇所や、人の目では見えづらい不具合を持っているものもあります。

このような、今まで人の手でなければ検査できなかった、人の目では検知が困難な課題を、様々なデバイスを使って解決していく点は、HACARUS Check開発の面白い点の一つとなります。

最後に

本記事では、HACARUS Checkが制御しているデバイスについて紹介し、デバイス制御をする上で苦労する点と面白い点について述べさせてもらいました。
HACARUS Checkは、様々な検査対象ワークに対応するため、今後も必要に応じて新規デバイスを導入していきます。
色んなデバイスを使ったシステムの実現にご興味のある方、是非弊社にご応募下さい。

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